大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 昭和32(あ)554 決定

主 文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理 由

弁護人佐々野虎一の上告趣意第一、二点は、刑法並びに裁判所法が憲法施行前に

制定されたものであつて、憲法の下において無効であることを前提とし、それぞれ

違憲の主張をなすものであるが、旧憲法上の法律は、その内容が新憲法の条規に反

しない限り新憲法の施行と同時にその効力を失うものではなく、なお法律としての

効力を有するものであることは、憲法九八条の規定によつて窺われるところである

(昭和二二年(れ)第二七九号、同二三年六月二三日大法廷判決、刑集二巻七号七

二二頁、昭和二三年(れ)第一一四〇号、同二四年四月六日大法廷判決、刑集三巻

四号四五六頁参照)。論旨は、右各法律がその内容において憲法の条規に違反する

ことを主張するものではなく、単にその形式的効力を争うものに過ぎないのである

から、所論は理由なきものであつて、これを前提とする違憲の主張は適法な上告理

由とならない。

同上告趣意第三点は、違憲をいうけれども単に審理不尽を主張するにほかならな

いものであり、同第四点の違憲の主張は、原審において主張されず、原判決の判断

を示していない事項に関するものであつて、いずれも上告理由として適法でない(

刑法一八条が憲法一四条に違反するものでないことについては、昭和二四年(れ)

第一八九〇号、同二五年六月七日大法廷判決、刑集四巻六号九五六頁参照)。

同上告趣意第五点は量刑不当の主張であり、被告人の上告趣意は事実誤認、審理

不尽の主張を出ないものであつて、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても本件につき同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号、一八一条により裁判官全員一致の意見で

- 1 -

主文のとおり決定する。

昭和三二年九月一七日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 小 林 俊 三

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!